時効
世の中には、大小さまざまな人間同士のあらそいがあります。
それを解決するのは、基本的には話し合いや一般常識から導き出されるルール(社会通念)ですが、これらで解決できない場合、最終的なよりどころとなるのは法律(正確には「法」)です。
法律は原則として万人に平等に、そして無差別に適用されるもので、「そんな法律知らなかったから自分には関係ない」という言い分は聞き入れてもらえません。
言い換えるなら、「法律は全員が熟知している」という前提の下で世の中は動いています。
普通に考えてあり得ない前提ですが、日本は法治国家なのでこの前提を受け入れるしかありません。
なかなかにやっかいですよねぇ。。。(*_*;
しかし!!
回避する方法はあります!
そうです!!
法律を知ることです!
「法律を知らない」ことであなたが困らないように、いっしょに勉強しましょう!
今回は、民法における時効について紹介しようと思います。
「時効」と聞くと、犯罪捜査における時効がはじめに思い当たる人も多いのではないでしょうか。
一般に馴染みのある「時効」という言葉は、たしかにこの刑事訴訟法上の時効でしょう。
『時効警察』というドラマがあったり、「もう時効だろうから、若いころ悪さをしていた話をしよう」といった使われ方をしますよね。
刑事訴訟法上の時効は「公訴時効」というやつで、法定された一定期間が経過すると犯罪として罪に問えなくなる(公訴できなくなる)という制度なわけですが、今回ふれる民法上の時効は、公訴時効と制度的にはまったくの別物です。
それでは、時効について勉強していきましょう!
設例
・Aが住んでいる家の隣りには空き地(土地X)がありました。
・Aの父親Bが生きていたころは、父親Bがその土地Xで小さい家庭菜園をやったり、花壇を作っていたりしたので、Aは土地Xが父親Bの所有物だと思っていました。
・父親Bが亡くなった後はAが土地Xの管理をしていましたが、Bが亡くなって8年経ったころ、Aは土地Xを駐車場にすることを思いつき、実際に駐車場として舗装して近所の人に賃貸しはじめました。
・それから3年経ったころ、突然Cと名乗る人物がAのところにやってきて、土地Xは自分がBに貸していたものだから返してほしい、と言ってきました。
・Cは土地Xの登記書(登記事項証明書)も持参しており、登記書にはたしかに所有権者としてCの名前が載っていました。
【補足】
・Bの相続人はAのみ
・登記書は偽造されたものではない
・Cは、登記書に載っているCと同一人物
・Bは、亡くなるまでの10年以上は土地Xを私的に利用していた
・BとCの間に貸し借りが実際にあったのかは不明
・土地Xを駐車場にするために100万円ほどの費用がかかった
・土地Xは、駐車場にする前は大して利用価値のない空き地だった
AはCに土地Xを引き渡さなければならないのでしょうか?
Aさんの心情的には、「今まで何も言ってこなかったクセに急に返せなんてひどいよぉ。。。」といったところでしょうか。
このケースでは、Cに土地Xを・・・
これは取得時効が成立するケースです。
取得時効とは、所有の意思を持って、他人の物を一定期間、平穏公然と占有し続けることで、その物の権利を取得できるという制度です。
「所有の意思」というのは「自主占有」と呼ばれるもので、その対象物を自分の所有物として占有ことを指します。
「一定期間」というのは、
となります。
「平穏公然」とは、「トラブルなく、かつ他人に隠すこともなく」といった意味合いです。
今回の事例では、AさんはBさんの死亡後に土地Xを10年以上占有していて、かつ、土地XについてBさんから相続した自分の物だと信じていましたので、登記記録上Cさんが所有権者となっていても、土地Xを引き渡す必要はありません。
長く継続している現実の状態を法的に保護しようというのが取得時効の制度です。
また、現実の状態が真の権利関係と異なっているのにそれを放置している者は保護に値しない、という趣旨も含んでいます。
Aさんは近所の人に駐車場として貸していたんだから、途中から占有していたのはその近所の人なんじゃないの?
他人に貸している場合でも、その他人を介して占有(代理占有)していることになるので占有の継続性が認められます。
父親Bが「土地Xは誰の土地かわからないけど、ちょうど家庭菜園やりたかったら使っちゃお~」と言っていたのをAさんが知っていた場合はどうなるの?
父親Bが、自分の物ではないと知っている状態で土地Xを10年以上自主占有(自分の物のように占有)して、その後、その事情を知っているAさんが10年以上自主占有している、というケースですね。
この場合、Aさんは父親Bの占有期間を承継(相続)することができるので、併せて20年間、土地Xを自主占有したことになります。
自分の物ではないと知っていた場合でも、20年間平穏公然と自主占有していたAさんは、土地Xを取得することができます。
Aさんが土地Xを引き渡さなくてもいいのはわかったけど、Aさんが占有しはじめて10年が経つ前、つまり、土地XについてのAさんの取得時効が完成する前に、駐車場代としてAさんが受け取っていたお金はCさんのものになるんじゃないの?
取得時効が完成して、その時効によって得られる利益(「時効の利益」と言います)を受けるとAさんが表示(「時効の援用」と言います)した場合、Aさんは占有開始時点から土地Xを所有していたことになります。
つまり、Aさんは時効の援用によって父親Bの死亡時から土地Xの持ち主であったことになるので、駐車場代も当然にAさんのものになるわけです。
そもそもAさんが、父親が死亡した時に相続登記をしようと思い至れっていれば、Cさんが土地の所有者だってわかったわけだし、こんなややこしいことにならなかったんじゃないの?
それは、、、間違いないですね。。。
時効取得するには「所有の意思を持って占有(自主占有)」する必要があるので、他人から借りている物は、たとえ10年占有しようが20年占有しようが取得できません。
他人から借りている物は、他人の物であることを前提に占有しているわけで、これを「他主占有」と言います。
今回の事例で、父親BがCさんから土地を借りていたことが事実であり、それをAさんが知っていた場合は、たとえBさんから土地Xを相続したタイミングで「所有の意思を持って占有」したとしても、土地Xを時効取得することはできません。
父親Bの占有は他主占有なので、Aさんは20年(自分の物ではないと知っていたので10年ではダメ)自主占有しないと取得できないわけです。
みなさん経験があると思いますが、子供のころ友達から借りたまま返し忘れているゲームソフト、あれはあくまでも他主占有なので時効取得できませんw
まさに借りパクしてる状態なので、速やかに持ち主に返しましょう!
それでは、また!
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