日本をMMTの実験(実践)場に!【MMTの正当性を証明してきたわが国日本】

経済・政治

MMT

MMT(現代貨幣理論)は、現時点において少なくとも個人的には事実であると考えていますが、まだ科学的アプローチにおける仮説段階だと言っていいでしょう。

過去の経済動向から得られる知見や、「お金」の性質を観察して得られた知識など散在している情報の断片を綜合して立てられた、「おそらくこうなのではないか」という仮説です。

なので、実験検証分析が必要となります。

 

とは言っても、研究室内で完結する化学の実験とは話が違うので、この実験は容易ではありません。

また、そもそも「経済」というものは普遍的ではない気がしますし、恒久的に正しい答えが得られるとも限らないことは前提として認識しなければなりません。

それでも、「貨幣とは何か」を知って人類が一歩前進するために、MMTは避けてはいけない理論だと思います。

 

では、もしどこかの国で実験をするとしたら、どこの国が適任でしょうか。

それは、わが国日本です。

自国通貨を持っていて、自国通貨建ての債務しか持ってなくて、長期のデフレに悩まされていて、「円」は安全資産として世界的に信用もあって、一定の経済規模もある。

実験場として適しているのは間違いありません。

「実験」という言葉が不真面目であれば、単に「政策」という題目で実施すればいいでしょうが、とにかく、早急にコロナ恐慌を脱するためにも、日本政府には即時に決断してほしいものです。

 

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色々と証明してきた日本経済

 

2019年4月の国会委員会でMMTが話題に挙がった際、麻生財務大臣は「日本を実験場にするつもりはない」と発言していますが、すでに日本は意図せずに色々と証明しちゃってきました。

 

マネタリーベースとインフレ率

 

MMTを警戒する声で一番目にするのは、「際限なく貨幣を発行すればハイパーインフレになる」というものです。

ぼくも中学生のころに社会科の授業でそんなようなことを教えられた記憶がありますし、貨幣数量説の根拠となっている貨幣数量方程式によると、単純に貨幣量が増えれば物価が上がると考えられていました。

そもそもMMTは「際限なく貨幣を発行」できるとは説明していないわけですが、それは置いておいても、「貨幣の発行量とインフレ率は相関関係にない」ということを、日本がカラダを張って証明しています。

 

2013年に黒田日銀総裁が就任してから、日銀は「異次元」と修飾される量的緩和政策を進め、いまやマネタリーベース(市中に流通する現金と日銀当座預金の合計)は500兆円(黒田総裁就任前の2倍超)を超えています。

それでも、以下の図の通り、コアコアCPI(生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価指数)は実質下がっています。(2014年に消費税が5%から8%になったので、強制的に2.8%は物価が上がるはずですが、実際は1%程度しか上がっていません。)

日銀のインフレ率の目標は2%であることを考えると、まったくと言っていいほど効果がなかったわけです。

 

マネタリーベースと物価変動率

 

といっても、これは当然と言えば当然で、マネタリーベースのうち劇的に増えたのは日銀当座預金であって、マネーストック(市中に出回っている貨幣の供給量)はさほど増えていないからです。

 

マネタリーベースとマネーストック

 

日銀当座預金は、政府や銀行が日銀に保有している口座であり、市中の経済主体(家計、企業、地方自治体など)が引き出して使えるお金ではないので、これが単に増えただけでは実体経済を刺激する効果は薄いということです。

実体経済を意図的に刺激するには財政出動をして政府支出を増やす必要がありますが、それを実行するとマネーストックが増えて当然インフレ率が上がる可能性が懸念されます。

ただ、それによって直ちにハイパーインフレになるという考えは大げさが過ぎます。

今まで年率2%のインフレ率を目標にしていたのに増税をしても1%すらままならないんですし、間違いなくインフレにできる、つまり、日銀の目指すインフレ目標を達成する方法が財政出動なのであれば、それは是非ともやるべきだと思うわけです。

 

国債発行額と金利

 

従来の主流経済学の理論では、国債を発行すると金利が上がると考えられてきました。

いわゆる「クラウディングアウト」というやつですね。

政府が国債を発行して市中からお金を調達すると、市中の貨幣量が減ることによってお金の価値が上がる(お金の価値が上がるので金利も上がる)という理屈です。

この理屈が正しくないことについても、日本は見事に証明してみせました。

 

下記のグラフは、三橋貴明さんも好んで使用されている、政府債務と長期金利の推移をひとつのグラフにまとめたものです。

 

政府債務と長期金利の推移

 

国債を発行して政府債務を増やしても、金利は上がるどころか下がっているのがおわかりいただけると思います。(多少日銀の誘導もあると思いますが。)

 

クラウディングアウト理論が出発点から誤っているのは、国債の発行は市中からの資金調達ではないという点です。

国債は個人や企業も当然購入することができますが、国債の大部分は市中銀行が買います。

市中銀行は、その銀行が日銀に保有する日銀当座預金の残高を、政府の日銀当座預金に移して残高を増やすことで国債を買います(お金を貸します)。

この時、その市中銀行に口座を持っている誰かの口座から預金が減ることは一切ありません。

すべて、(市中の経済主体では手が出せない)日銀当座預金内で完結する話です。

なので、市中からお金が減るということはそもそもあり得ない、ということです。

 

「市中銀行の日銀当座預金が減るのであれば、市中銀行から民間に貸し出せるお金が少なくなるんじゃないの?」と疑問を持つ方もいるでしょう。

それはそうなのですが、心配は一切ありません。

なぜなら、以前の記事でも触れましたが、銀行は「無」から「お金」を生み出しているんですから。

 

一応補足しますと、市中銀行が民間に貸し出せるお金の額には上限があります。

そしてその上限は、その市中銀行が日銀に保有する日銀当座預金の残高によって決まります。

具体的には、市中銀行は、その貸付総額の1.3%(「準備預金制度に関する法律」の下、日銀が設定)以上の金額を日銀当座預金に預けていなければならないことになっています。

つまり、「日銀当座預金の残高 ÷ 1.3%」の金額まで、市中銀行は貸付ができるわけです。

さて、現在市中銀行はいくらまで民間に貸付られるのでしょうか。

 

答えは、2京6,867兆3,231億円です。

まさに天文学的な数字なので、心配は一切ないということです。

 

「政府の赤字」と「国民の黒字」の関係

 

MMTの基本理論③「政府の赤字は、その他の経済主体の黒字」についても、ここ最近わかりやすく証明してくれています。

 

そう、コロナ対策として実施されている特別定額給付金(国民全員に10万円を給付する事業)です。

12兆円を超える国債を新規発行して国民に配ることで、政府の債務は増えましたが国民の預金は増えています。

明白過ぎて、誰も疑う余地はありませんね。

 

一時的に国民の預金は増えたけど将来の税収で回収しなきゃいけないでしょ?!

というツッコミがある人は、税金の本質について以下の記事をご参照ください。

 

 

インフレ率はコントロールできる

 

MMTに懐疑的な意見で多いのは、前述の通りハイパーインフレの懸念です。

国債の発行に精神的な障壁がなくなると放漫な財政になってしまい、インフレに歯止めが利かなくなる、といった意見です。

 

この意見は明らかに杞憂です。

わが国は、消費税増税という名の消費に対する罰則の強化、および、プライマリーバランス黒字化なる国民貧困化政策によって、インフレ率を抑制するどころかデフレを維持する方法を、全世界にお手本として見せているんですから。

 

ちなみに、そもそも上記の意見は財政をコントロールする政治家のだらしなさに問題があるという話なので、その政治家を選んだ有権者の責任でしょうし、MMTが批判の的になるのはおカド違いなのではと思ったりします。

 

あとがき

 

経済はまるでイキモノのように日々変化していきます。

人類は、人の意思とは関係なく流動する経済をうまく扱おうと研究や実践を重ねてきました。

 

主流の経済学では、マネタリーベースを増やせば市中銀行の貸付が増えたり民間の消費が増えると考えてきましたが、少なくとも日本においてはまったく効果がありませんでした。

でもそれはそれでムダではありません。

やってみなければわからないことの方が多いと思いますし、机上の空論よりもトライ&エラーの精神の方が正しい態度だと思います。

 

日本が経済学における地動説を証明できるかもしれないこの時世に、政府には勇気ある決断をしてもらいたいと強く願います。

 

 

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