右翼、左翼の意味
前回、「右翼」「左翼」の語源から、辞書に載っているような「右翼」「左翼」の定義的な意味を勉強しました。
わかったことは、国、時代、社会制度、世論などなど、色々な要素によってできあがる「環境」あるいは「状況」によって意味合いが変わる、抽象的な概念であるということでした。
でも・・・
まだ全然ピンと来ない!!
「時代によって「右翼」「左翼」の指す意味は変わるんだよ~」と言われても、「あの新聞は右寄りだなぁ」とか「〇〇さんは左が入ってるね」とか、評論のまねごとをしたいような時には何の役にも立たない知識のままです。
でも大丈夫です!
「わからないことがわからない」の状態から、「わからないことはわかった」の状態までは来ました。
「右翼」「左翼」の概念が時代によって変わるのであれば、現在ぼくらを取り巻く環境における「右翼」「左翼」が何であるかを知ることができれば、評論のまねごとができるようになるはずです。
そこで今回は、「現代における右翼、左翼」の意味を勉強していきましょう!
右翼、左翼の定義
まずは、前回のおさらいも兼ねて、「右翼」「左翼」の定義を改めて考えてみましょう。
まぁ、辞書に載っている文言が定義といえば定義なんでしょうが、正直なところ、「右翼=保守派」、「左翼=急進派」といった簡単な言葉だけでは説明として不十分だと思います。
そこで、「定義」というにはやや長い文章になりますが、丁寧に定義してみます。
※左翼から定義した方がわかりやすいので、そのようにしています。
それまで培われてきた伝統については、(否定しないにしても)価値基準(優先順位)は低く、それよりも「社会はこうあるべきだ」という俯瞰した視点で考えるため、「進歩的」と表現される。
そのひとつとして、「平等(結果の平等)」という価値観があり、反格差社会、社会的弱者の保護ないしはマイノリティの意見の尊重といった立場をとる。
「平等」が実現するのであれば、自由は多少の制限を受けても致し方なく、「平等」の実現こそがより進歩的であると考える。
そのため、国家、民族ごとに違い(個性)があることを前提にしており、左翼思想の「人類普遍の価値観」に懐疑的である。
なお、以前のやり方に戻す(例えば、民主主義から絶対王政に戻す)といった反動志向もこちらに分類される。
説明的な文章になりましたが、おそらくこのぐらいの説明をしないと「右翼」「左翼」は定義できないのではないかと感じます。
現代における右翼、左翼
では、今回の本題である、現代における右翼、左翼が何を指すのか、列挙してみます。
ここでご留意いただきたいのは、上記はあくまでも個人的な「右翼、左翼のイメージ」であるということです。
くどいようですが、右翼、左翼に、例えば「右翼=民主主義」「左翼=共産主義」といった固定的な意味があるわけではないからです。
とはいえ、少なくとも自分では平均的な意見だと思ってますが。
右翼
自由と民主主義
強い愛国心(国粋主義、民族主義、尊王)
左翼
大きい政府(政府の権力が強い)
反格差社会(共産主義、社会主義、労働者階級の味方)
反体制(反日、革命思想)
以下、それぞれを簡単に説明します。
自由と民主主義
「自由と民主主義」は、「全体主義」の対義語といえばわかりやすいかもしれません。
表現の自由が保障され、為政者は国民が普通選挙の下で選ぶという、現代の日本ではごくごく普通の社会です。
また、自由は責任を伴うので、経済的な格差も「自己責任」として容認する傾向にあります。
現代では「自由と民主主義」は右翼に分類されますが、フランス革命が起こったころのフランスや、日本においても自由民権運動や大正デモクラシーのころは左翼思想だったわけですね。
強い愛国心
まさに「伝統」とか「民族」を連想させる言葉である「愛国心」ですが、日本でいうと「尊王」といった思想にもつながります。
「愛国心」には、盤石な国防という視点も入っており、友好的な日米同盟(日米安保)の維持、戦力の保持を違憲とする憲法9条の改正も右翼に分類されます。
なお、左翼思想家に愛国心がないというわけではないですが、左翼は国家観よりも「平等」を重視します。
カール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスの共著「共産党宣言」には、「労働者階級に祖国はない」「万国の労働者よ、団結せよ」と記されており、共産主義は国や民族といった単位を重要視していないことがわかります。
大きい政府
平等な社会を実現するためには、国民や企業よりも政府の権力が強くなければなりません。
例えば、法人税や高所得者に対する税率を引き上げ、増えた税収を低所得層に分配するという政策を進めようとした時に、一部の国民や経済界から反発を受けてお蔵入りするようではダメだからです。
平等のためには、国民の自由(上記の場合「豊かになる自由」とかですかね)に一定の制限を加えられる権力が必要なのです。
現代社会において一番端的に「大きい政府」を説明できる言葉は、「中国共産党」でしょう。
こう言うと左翼思想が「悪」みたいな印象になってしまいますが、中国共産党はかなり極端な例ということで。
反格差社会
共産主義、社会主義思想の根幹となる考え方で、「平等」という人類普遍の価値観から至る左翼思想です。
平等とは「結果の平等」であり、性別はもちろんのこと、才能のあるなし、ハンディキャップのあるなし、学力のあるなし、努力のあるなしですら関係なく、みんな同じ生活水準という社会を究極的には目指します。
※ちなみに、「結果の平等」と対となる概念は「機会の平等」です。
格差是正の一環として、社会的に弱い立場である労働者階級の味方というスタンスをとり、労働組合結成の後押しをしたり、労働条件の上昇を政策として進めたりします。
反体制
左翼の性質上、現体制の反対派であることが多く、極左ともなると革命思想に近くなったりします。
また、政府だけではなく自国のアイデンティティを否定する志向も左翼に分類されます。
あとがき
いかがだったでしょうか。
現代における「右翼」「左翼」の意味合いは、上記のような感じだと思います。
「右翼」「左翼」の具体的な輪郭がわかったので、「韓国の文在寅政権は、最低賃金を引き上げたり、公務員を増やして共産主義っぽい方向に進んでいるから左寄りだ」とか、「トランプ大統領は、アメリカ建国の理念を回顧して、伝統的な価値観でアメリカをひとつにまとめ、「偉大な復活」を果たそうとしているから右翼だ」といった評論のまねごとができるようになったのではないでしょうか。
なお、まだ「右翼、左翼の分類ってむずかしいなぁ。。。」という方は、
右翼 = 自由(責任と表裏)、そして、国や民族(伝統)を重視する立場
左翼 = 結果の平等を重視する立場
と捉えてもらっても大きく間違いはないと思います。
ここまで長々と書いておいてなんですが (;^_^A
それでは、今回はこの辺で!



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